Secret Window,Secret Room

ここ は わたし の ひみつ の ばしょ

小学生、いじめっ子のおはなし


今日はなんの話をしようか。


少し昔の話をしようか。


小学四年生の時にいたいじめっ子のお話だ。

 

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昼休みに入ったある日のこと。


ニシムラくんという男の子が女の子をいじめていた。

なぜいじめと思ったか。


どうやら暴言をくりかえしていたらしく、クラスの女の子はすごく嫌そうに


泣きそうになりながら「やめて」と繰り返していたからだ。

 

壁においつめられて男の子に暴言を吐かれているその様子は


「クラスの女の子が同じクラスメイトの男の子にいじめられている」


少なくとも通りすがった私にはそう捉えることしかできないものであった。

 

「これは、いじめだ」「いじめは、いけないこと」「助けなきゃ」


瞬間的にそう感じて体と口が動いていた。


「やめなよ、なんでそんなことするの」


深くは考えていなかった。


ただはやくその場をやめさせなきゃ、という気持ちでいっぱいだった。


だから次の瞬間、反射的にかえされた言葉を正面から受け止めて、私は深く傷ついたらしい。


「うるせぇメガネザル」

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「メガネザル」ってお猿さん、いますしね。

この場合、発せられた言葉の意味が問題なわけではなかった。


何故なら当時からわたしはメガネをかけていたし、


人類はそもそも霊長類というカテゴリーでお猿さんは親戚といえるような存在と理科の授業で習った。


それは事実の羅列である。

 

だから何だろう、と。

 


そうではなかった。わたしはニシムラくんの言葉にのせられた悪意に傷ついたのだ。


何故、この少年は人を傷つける言葉をこんなにも容易く扱い、


何故、こんなにも沢山の人々を傷つけるのだろう。


人を傷つけることは代償、無意味さ、虚しさしかないのに


何故それでもあえてなお、このいじめという行為を行うのであろう、と。


彼の行為の理由がわからず言葉の刃を身に受けつつ


ただただ起こってしまった悲しい出来事に涙を流しつづけた。

 


父母から日常的に虐待を受けつづけていた分、人間の「痛み」に敏感になっていたのだと思う。

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なにがいけなかったんだろう。

そして、わたしはどうすればよかったのだろう。

 

今ならわかる。


まず問題点としてあげられるのは

わたしが

 

ニシムラくんと自分自身のパラメーターを正確に把握していなかったこと

だろう。


当時のわたしは小学生は同じ歳なのだから大体みんな同じ能力を持っていると思い込んでいた。

 

だから、お互いに理解を深める目的を持って話しかければ

 

相手は人の話を聞いてくれるし解りあえると思い込んでいた。

 

自分ができる、汲みとれるようなことはすべて相手もできるものだ、と。 

 

しかしそれは間違いだった。

・ニシムラくんはそこまで情緒が発達した人間ではなかったこと
・ニシムラくんはそこまで周りの人間を観察したり、気を使ったりするような人間ではなかったこと
・ニシムラくんはコミュニケーションをとる際にそこまで対峙する人間に敬意を払い、礼節をわきまえた行動をとる人間ではなかったこと

 

つまりニシムラくんは自分が発したどの言葉が人権の侵害に値する「いじめ」に該当するのかわからなかったのだ。


もっと噛みくだいた言い方をすると「やっていいことと悪いことの区別がつかない」人だった。

悪いことをやっているという自覚症状もないから「謝る」ことを決してしない。


よって、お互いの認識のズレが生じ、両者の認識のズレが修正されないままお互いにコミュニケーションをとり、不毛な結果を迎える。

 

つまりニシムラくんは「こどもだった」のだ。


今から考えると、あたりまえのことなんだけど。

 

 

対処法として考えられるのは

 

まず

三者である権力を持った大人(担任の先生、校長、教頭、養護教諭、保健の先生)を呼ぶ。

 

しかし教師を探している間に2人が移動してしまう可能性もある。その場合、

 

・2人の間に「××先生が呼んでいたよ/探していたよ/だから早く行ったほうがいいよ」と強制的に会話を中断させる。

 

このあたりが無難だろう。

 

 

 

あの時のわたしは涙を流すのに精一杯だった。

ちなみに当時のわたしは一度泣きはじめたら少なくとも2時間はとまらないことで有名な泣き虫で

昼休みは愚か、五時間目の授業中もずっと机にふせって泣いていたんだ。

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いじめられていた女の子から逆に心配されてしまった。いやはや。

 

余談だが、このニシムラくんはこの後小学五年生の時にお家の事情で引越しをして
中学生の時にいじめられて自殺をしたという噂が流れたのだが、これはまた、別のお話。いつかまた、別のときに話すことにしよう。